

撮影秘話
- もともと「タワーリング・インフェルノ」の原作は2つあった。1つはロビンソン=スコーティア共著の「The Glass Inferno(ガラスの地獄)」。もう1つはスターン著の「The Tower(ザ・タワー)」。前者は40万ドルで20世紀FOXが、後者は41万ドルでワーナー・ブラザースが映画化権を買い取ったが、お互いに似たような高層ビル火災の映画を作る事を知り、同じ多額の投資をして競り合うよりは、むしろ共同出資して、より大きな映画を1本製作した方がいいのでは、という事になった。こうして総製作費1400万ドルのハリウッド史上初の大手2社共同製作の映画が誕生した。
- スティーブ・マックィーンとポール・ニューマン。本作品では2大俳優として肩を並べる二人だが、マックィーンにとって、ニューマンは憧れのスターであった。実は、マックィーンの映画デビュー作は、ニューマン主演の「傷だらけの栄光」だった。それも名前すらないチンピラ役。一方、ニューマンはデビュー作から主役を演じる人気者だった。常にニューマンを目標としてきたマックィーンは、必ずといっていいほど、似たような映画に出演していった。ニューマンがギャンブル映画「ハスラー」(61)に出演すれば、マックィーンは「シンシナティ・キッド」(65)に。カーレース映画「レーサー」(69)に出れば、「栄光のル・マン」(71)といったように、ニューマンの直後に似たジャンルの映画に出演している。
- その二人が、この映画で見事な競演を果たした。しかし、今やビッグネームの2人。ポスターや本編クレジットの順番をどちらが先にするかでスタッフ一同、頭を悩ませてしまった。基本的に、ポスターや本編に出てくるクレジットは名前が先に出てくる方が主演であり、複数の名前を同時に出す場合は左(上)から右(下)と序列が決まっていた。マックィーンとニューマンを2人同時に出す事は簡単に決まったが、どちらが左側を取るかで揉めてしまった。結局、左側をマックィーン、右側のニューマンはマックィーンより上というように位置づけられた。(表紙の写真を参照。少しだけ、ニューマンの写真の方がマックィーンよりも上にあるのが分かる。)
- しかし、映画の本当の主役は、138階建ての超高層ビル、 グラスタワー。このビルの全景シーンを撮影するために作られたセットは、なんと地上33メートル。前作「ポセイドン・アドベンチャー」で豪華客船をひっくり返したスタッフらによって造られた。室内セットも各スタジオごとに5階分のセットが組み立てられ、全て再利用出来るように特殊建材によって耐火措置が施された。更に、撮影用に約4000キロリットルの水が用意された。スタジオの中に作られたセットの数は全部で57部屋。その内、火攻め、水攻めにあわなかった部屋はたったの8つだったとか。
- 後に、「この映画が成功したのは役者をさっさと引っ込めて、スタントマンに演じてもらった事だよ」と、おとぼけなコメントをしているニューマンだが、その彼も、子供を抱いたまま壊れた階段を降りていくなど体を張ったスタントシーンを披露している。また、マックィーンもヘリコプターから展望エレベーターに飛び移ったり、共演のロバート・ワグナーも燃え盛る炎の中に飛び込んでいくなど、本職も顔負けの演技だった。そんな中、全くスタントシーンのなかったフェイ・ダナウェイは撮影終了後、空中に釣り上げられたエレベーターから、下のマットに飛び降りて、自分もスタントくらい出来ると証明して見せたとか。